第二報道部オフサイド日記

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男鹿工業に期待を寄せて

花園予選秋田県予選準決勝。
天気予報通りの秋晴れの秋田市八橋球技場。スタンドは満員だ。
大観衆の前でプレーできる選手は幸せだ。応援団、父兄、OBらの声援を背に受けて試合に臨む。
普段の練習がいかに試合に生かせて、精神力がいかに相手を上回るかの勝負である。
試合前はどちらも「絶対」というものは無い。
準決勝第一試合の男鹿工業にスポットを当ててみた。
秋田中央対男鹿工業。 昨年秋の新人大会と春からの大会成績を知っている人から見れば、今日の準決勝は秋田中央が大差の勝利と予想していたに違いない。確かに春の八幡平での東北大会1部決勝戦での秋田中央は東北の王者、仙台育英と僅差の戦いだったからだ。しかし、私は以前から秋田中央は単純なミスが時々出る場面を見ているので、ここが男鹿工業の突破口として生かせないかと思っていた。

試合がはじまる。開始早々、男鹿工BKが展開し天野が先制のトライ、ゴールと7対0でリードし、スタンドの度肝をぬいた。その後秋田中央が15分過ぎにスラムハーフ澤木が取り返し、7対7の同点でハーフタイム。
誰がこのような展開を予想出来たろうか?  男鹿工業の内藤徳男名誉監督ですら予想出来なかったろう。秋田中央サイドも同じく動揺を隠せない。
男鹿工フアンは2年前の同点抽選が心の奥からよみがえってきたろう。
しかし、男鹿工業は過去花園出場した時の様な大型強力FWではない。先日、同じ東北のあるチームのコーチが語った。「今年の男鹿工業のスタイルは違ってきた」と。確かにルール改正などもあるが、強力FWのドライビングモールのイメージから展開ラグビーへと変わった。

後半は、男鹿工BKの動きとFWの集散が少し悪く見えてきた。そこに秋田中央がつけ込んできたのだ。
男鹿工業は秋田中央ゴールライン近くまで行っては、「ノットリリース」の反則を繰り返し、得点チャンスをつぶす。

※注 「ノットリリース」・・・正式には「ノットリリースザボール」(ホールディングザボール)という反則行為。タックルされた後にボールを持っていたプレーヤーがボールを離さなければならないが、そのまま持った状態にある行為。

一方、秋田中央は男鹿工業ゴール前に攻め込むと「しつこく波状攻撃」だ。男鹿工業と違い、ボールをきっちりと確保した。
男鹿工業にとっては後半10分過ぎの秋田中央SO鈴木健士郎の右中間トライが大きくのしかかってきた。そして後半27分の秋田中央フランカー熊谷の駄目押しと思われるトライ。
結局、24対7で秋田中央が決勝進出を果たした。男鹿工業には、前・後半、とも秋田中央の単純ミスにつけ入り、トライチャンスは何度かまだあった。「ここぞ!」と言う時に痛恨の「ノットリリース」。                                      「ノットリリース」が多いという事は「筋力」が弱いという事だ。
あるラグビー仲間が言った。筋トレをするには、スコップを持って毎日、人間が二人分入る穴を掘れば、おのずから全身に筋肉が付くと。彼の息子はかつて早稲田大のプロップだ。
今後、さらなる「筋トレ」の強化を要望する。コンタクトプレーも強化される。
内藤名誉監督の持論は「走り込み、走り込みとよく言われるが、走り込みだけでは駄目だ。コンタクト(接点)が弱ければ前に進めない。ラグビーは格闘技だ!」と。
男鹿工業は、秋田工業、秋田中央からみれば練習量は比較にならないほど少ない。帰りの電車時間にあわせて練習が終るからだ。個人練習する者も少ない。
それでも今年の男鹿工業のBK陣のプレーを見たある秋田工業OB指導者は、「もう少し練習すれば、うちのBKよりずっとすばらしい」と評したほどだ。
男鹿工業ラグビー部には秋田工業、秋田中央に行きたくても行けなかった生徒も多い。その割には、最近は秋田工業、秋田中央に対する闘争心が欠けている。この闘争心が燃え始めると存在感が大きくなる。男鹿工業はもっと練習すれば、更に強くなるチームだ。
<昨年の全県新人戦からの男鹿工業の戦跡>
全県新人戦1回戦 男鹿工業36ー26大館鳳鳴
  同準決勝   秋田中央57ー20男鹿工業
  同3位決定戦 秋田高校47ー 7男鹿工業
中央地区1回戦  秋田工業59ー 0男鹿工業
全県総体2回戦  男鹿工業57ー 5金足農業
  同準決勝   秋田工業46ー 0男鹿工業
  同3位決定戦 秋田高校33ー10男鹿工業
上記の戦跡からみると、きっちりと本番花園予選へ向けて確実に力をつけてきたのがわかる。
男鹿工業の準決勝の戦いぶりには拍手を送りたい。「よくがんばった!」
悔いの無い思いだったに違いない。
そして、男鹿工業に「力と気力」で上まった秋田中央にも拍手を送る。
あえて秋田中央に「男鹿工業の分まで決勝でがんばってくれ」とは言わない。
言わなくても、秋田中央はがんばれるチームだからだ。
そして、すぐに又敵同士になるからだ。
スタンドの大観衆は両チームに大きな拍手をおくってくれた。

今年も、男鹿工業は花園出場の夢は消えたが、10日後からは早くも東北新人大会への出場をかけて全県新人戦がはじまる。今日の勢いを3年生は後輩に引継ぎ是非、全県新人戦優勝を目指して欲しい。
<一昨年の花園県予選準決勝で秋田中央に同点抽選負けし泣き崩れる男鹿工>