第二報道部オフサイド日記

秋田の話題・お祭り・風景・秋田のラグビーの紹介

さよなら 「あけぼの」

JRの寝台特急「あけぼの」が今朝7時過ぎに上野駅に到着し44年の幕を閉じた。
奥羽本線 青森〜秋田〜上野間のブルートレインだ。
私はこの寝台特急に若い時によく乗った。


昨夜、秋田駅を上野に向かって出発する「あけぼの」


東京出張には「あけぼの」で行って、「あけぼの」で帰ってきた。
当時、「あけぼの1号」「あけぼの2号」があった。
羽越本線経由の寝台急行「鳥海」というのもあった。
当時は今の様に日中の秋田新幹線は無かった。特急「つばさ」があったが、時間が折り合わなかった。
「あけぼの」で行く時は、列車の中でしばらくは窓際の折り畳み椅子で缶ビールを飲みながら暗い車窓をながめた。
東京へ行く時の寝台では夜中に何回も目が覚める。
「ごっとん、ごっとん」という音が気になる。
朝方、車掌から朝のアナウンスがメロディーとともに流れる。大宮あたりで外を見ると都会の雰囲気が感じでくる。
しだいに東京に近づいて行く様子が車窓から感じられた。

「あけぼの」で上京すると到着は朝の7時前。
一般に出張先の会社が始まるのは9時過ぎ。
まず、上野駅に着いたら朝食だった。
上野駅構内のゴミゴミした食堂で朝定食。塩サケ・焼きのり・生たまご・納豆の定番定食。
秋田でのお米よりおいしく感じる。
その後は有楽町駅まで行ってサウナに入る。
そして、さっぱりして出張先に向かった。
出張先での仕事は一日いっぱいあるわけではない。昼前後には仕事が終わる。
仕事が終えてからは秋田に帰る汽車は夜9時過ぎの「あけぼの」なので、9時間も待ち時間がある。

私はその間、東京見物をしたものだった。
平日出張なので、東京の姉の家に行っても夕方まで誰もいないので、東京見物に行くことが多かった
忠臣蔵が好きだったので高輪の泉岳寺神宮球場での東京6大学野球観戦、新宿でのブラブラ歩き、秋葉原の電気街見物、渋谷のNHK放送センター見学、そのほか浅草などを見て時間を過ごした。
夕方には姉の家に行ったり、上野駅前で映画を観たりした。
飲み屋には一人では不安で行けなかった。仲間からボラレタ話を聞いていたからだ。
夕食は上野駅前のレストラン「寿楽」に良く行った。
田舎者なので夕方から夜の汽車時間までは上野駅近くにいなければ不安があった。
上野駅前の屋台のラーメンもおいしかった。


東京から帰ってくる寝台では東京で一日いっぱい歩き回るので疲れ果てて熟睡で帰る。
朝方、大曲あたりから車窓を見る。
再び、のどかな田舎の景色だ。現実が戻ってきた気持ちになる。
そして秋田到着後は通常通り仕事であった。
よほどの事でない限りは飛行機は使うことが出来なかった。
飛行機の予約を取るのも至難の業の時代でもあった。


寝台特急「あけぼの」での東京出張の思い出である。
今だったら、ほとんど飛行機を使い、時間に追われる日程のため東京見物などの余裕はない。