第二報道部オフサイド日記

秋田の話題・お祭り・風景・秋田のラグビーの紹介

雪がしんしんと降っている。

立春が過ぎて、秋田県横手市かまくらまつりが終わったころから例年だと春の兆しが見えるが、今年は逆だ。
昨日あたりから外を歩くと、ぐ〜んと底冷えし、今冬最低気温かとも思わせるくらいだ。
積雪量はさほど無いが、春に向かって寒くなった。
今年の三寒四温は急激に上り下りする。
夜には雪がしんしんと降っている。
我々の年代に小学校の教科書にあった誌で「雪の日」と言うのを今でも覚えている。今の若い人には理解しがたいかもしれない田舎の町の様子だが、私は大好きで、雪国にはピッタリの誌だと思う。

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雪の日
 田中冬二  「春愁」昭和22年所収

雪がしんしんと降っている
町の魚屋に赤い魚青い魚が美しい
町は人通りもすくなく
鶏もなかない 犬も吠えない
暗いので電灯をともしている郵便局に
電信機の音だけがする
雪がしんしんと降っている
雪の日はいつのまにか
どこからもなく暮れる
こんな日 山の獣や鳥たちは
どうしているだろう
あのやさしくて臆病な鹿は
どうしているだろうか
鹿はあたたかい春の日ざしと
若草をしたっている
いのししはこんな日の夜には
雪の深い山奥から出てくるかも知れない
お寺の柱に大きな穴をあけた啄木鳥は
どうしているだろう
みんな寒いだろう
すっかり暮れたのに
雪がしんしんと降っている
夕餉(ゆうげ)の仕度の汁の匂いがする

原文は「い」→「ゐ」   「ろ」→「ら」になっております。