第二報道部オフサイド日記

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昭和に一時代を築いた東北の高校ラグビー

<9月26日 毎日新聞より>

~昭和に一時代を築いた東北の高校ラグビー

「ONE TEAM」で強化を模索する~

全国高校ラグビー大会(毎日新聞社など主催)は今冬、東大阪市花園ラグビー場で第100回の記念大会を迎える。最多15回の優勝を誇る秋田工をはじめとする東北勢は近年、低迷している。指導者たちは、県の枠を越えて「ONE TEAM(ワンチーム)」で強化に立ち上がっていた。

 東北勢は、昭和に一時代を築いた。秋田工が1933年度の第16回大会で初優勝すると、戦後では47年度の第27回から3連覇を達成した。第36、38回大会は決勝で盛岡工(岩手)との東北対決を制した。盛岡工は第45、50回の2度頂点に立った。黒沢尻工(岩手)は第58回大会で準優勝した。第67回大会の秋田工を最後に優勝から遠ざかる。

 平成以降の決勝進出は第75回大会の秋田工だけで、4強入りも第81回大会の仙台育英(宮城)が最後だ。東北高校体育連盟ラグビー専門部の野口雄司委員長(青森・十和田工監督)は「小中学生の育成や中高一貫指導に取り組む近畿や関東、九州に比べ、東北は高校から始める選手が多く、基本技術の習得に時間がかかる。選手、チームが減り、実戦で技術や対応力を高めることが難しくなっている」と分析する。

1970年度の第50回全国高校ラグビー大会には50校が出場し、盛岡工が決勝で天理(奈良)を破って5年ぶり2回目の優勝=大阪・花園ラグビー場

 県内での強化に限界を感じ、危機感を募らせた指導者が動き出す。2009年11月に岩手県北上市北上総合運動公園で東北の花園出場校の強化試合を実施した。16年ぶりの出場を決めた黒沢尻工の高橋智也監督(現岩手・一関工監督)が、仙台育英の丹野博太監督や山形中央の松本栄監督(現山形・酒田西教頭)に相談して実現させた。青森北は学校行事と重なったため、秋田工、磐城(福島)を含めた5県の代表校と札幌山の手南北海道)の計6校が参加した。10年以降も続け、1校につき4、5試合を行う。19年から宮城県石巻市総合運動公園に会場を移し、20年は19年から加わった国学院栃木も交えて実施する予定という。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で20年は中止になったが、取り組んでいる強化策は他にもある。例えば、ラグビー熱の高い秋田市での交流試合にヒントを得て、10年からゴールデンウイーク期間に北上市で始めた交流試合だ。16年の岩手国体に向けた強化事業だったが、近隣県に加えて日川(山梨)、清真学園(茨城)といった強豪校を招いて開催する。また各地区の選抜チームが出場する、夏のKOBELCOカップの東北代表選手を翌年3月に再招集し指導に当たっている。

 花園での最近10大会の東北勢の勝利数は30勝で、1大会平均3勝にとどまる。前回大会まで24年連続出場中の仙台育英の丹野監督は「他地区に心技体全てで水をあけられ、まずはフィジカル面で強化を図っている」としたうえで「若い指導者がやりやすい環境を作らなければならない」と提言する。東北高体連ラグビー専門部の強化委員長も務めた一関工の高橋監督は「なぜ勝てないのか、どうしたら勝てるのか、知恵を出し合うべきだ」と訴える。【大矢伸一】

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写真は秋工ラグビー創部95年記念秋田放送の特別番組より